屋根には色々な形状がありますが、最近増えているのが「片流れ屋根」です。
片流れ屋根とその他の屋根には、見た目以外の違いがあります。
そこで、今回は「片流れ屋根」のメリット・デメリットや、気になる疑問について、施工事例写真を交えながらお話しします。
これからマイホームの新築計画を始める方は、ぜひ参考にしてください。
●片流れ屋根のデメリットを知り、プランニングの段階でその対策を取り入れておくことが重要です。
●入沢工務店は、山梨にオフィスを構え“地元密着”をコンセプトに、スタイリッシュで快適な家づくりに励んでいます。
Contents
片流れ屋根“7つ”のメリット
「片流れ屋根」とは、広い一面の屋根で構成されており、一方向に傾斜しています。
元々は、物置や小屋などに用いられてきましたが、最近は住宅にも採用されています。
では、いったいどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは主なメリット“7つ”を詳しく見てみましょう。
その01「屋根面積が広く太陽光パネルを設置しやすい」
他の屋根形状は、数枚の屋根が組み合わさっていて、それぞれは決して広い面積ではありません。
そのため、太陽光パネルが効率よく設置できない場合もあります。
一方、片流れ屋根は住宅の大きさ以上の面積があるため、より多くの太陽光パネルを効率よく設置できます。
ただし、発電効率を左右するのはパネル数ではなく、設置場所である点を忘れてはいけません。
できるだけ多くの電力を生み出せる方角に屋根が向くようにしましょう。
また、平屋の場合は、周囲に日差しを妨げる障害物がないかを特に入念にチェックしてください。
いくら最も発電効率の良い南面にパネルを設置しても、日中日陰になってしまっては期待通りの効果が得られません。
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その02「建築コストが抑えられる」
家の建設費を抑える方法として、できるだけ構造をシンプルにすることが挙げられます。
建物形状を単純化すればするほど、建築コストが抑えられるのです。
片流れ屋根は、屋根組みがとてもシンプルなので、まさに打ってつけ。
シンプルな構造は、耐震性を高める可能性もあります。
その03「ロフトや屋根裏部屋との相性がいい」
片流れ屋根を採用すると、屋根の高い部分の下に屋根裏空間を確保できます。
収納部屋として活用するほかに、最近や床下エアコンと組み合わせて小屋裏エアコンを採用する事例も。
また、梁を見せた高い天井にすれば、最上階に吹き抜けやロフトを作ることも決して難しくありません。
天井高を高くして、スキップフロアを取り入れるのもおすすめです。
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その04「ハイサイドライト・トップライトが付けやすい」
片流れ屋根は、屋根の高い部分に接する外壁面が必然的に高くなるため、高い位置に設置するハイサイドライト(高窓)を取り入れやすく、同じ大きさの窓でもより多くの日差しを取り入れられます。
また、屋根面積が広いため、トップライト(天窓)の設置場所にも困りません。
そのため、住宅密集地で隣家との距離が近く日差しを取り入れにくい場合にもおすすめです。
トレンドの”窓の少ない・小さい家”との相性もいいため、すっきりしたファサードデザイン(正面デザイン)にしたい方は、ぜひ片流れ屋根を検討してみてください。
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その05「斜線制限をクリアしやすい」
建築基準法第56条「建築物の各部分の高さ」では、周辺の日照や通風を妨げないために、敷地境界線から一定の高さ上がったポイントより引かれた斜線内に建物を収めなくてはいけません。
そのため、コンパクトな敷地では、最上階の天井を一部斜めにしたり、屋根勾配を調節したりする必要があります。
片流れ屋根は急な勾配(傾斜)にすれば、斜線規制を避けやすく、間取りへの影響を最小限に抑えられます。
【前面道路斜線制限】
敷地が接している前面道路の反対側境界線上から、定められた角度で引かれた斜線より建物が出てはいけない。
【隣地斜線制限】
接道部分を除き、隣地境界線上から定められた角度で引かれた斜線より建物が出てはいけない。
【北側斜線制限】
真北に位置する前面道路の反対側道路境界線・北側隣地境界線上から定められた角度で引かれた斜線より、建物が出てはいけない。
その06「棟周りの不具合を心配する必要がない」
屋根の棟(むね)とは、複数の屋根材が接する最も高い部分に付けられた部材を呼びます。
実は、屋根からの雨漏りのうち意外と多いのが、棟の不具合によるものです。
取り付け釘の浮き・脱落やによって棟が浮いてしまい、その下から雨水が侵入してしまうケースは少なくありません。
一枚の屋根から構成される片流れ屋根ですと、棟周りからの雨漏りリスクがかなり抑えられます。
その07「水はけがいい」
片流れ屋根はシンプルな形状なので、勾配を急にすると、雨水がスムーズに落ち、水はけがよくなります。
ただし、スレート瓦など表面がザラザラしている素材ですと、経年劣化によって表面に苔や藻が生えやすく、雨水が止まって雨漏りの原因になる可能性があります。
雨漏りのリスクを抑えるために、苔や藻が生えない金属系屋根材を採用するか、定期的な塗装メンテナンスを徹底しましょう。
その07「モダンな印象の外観デザインになる」
一昔前は、「片流れ=倉庫」というイメージを持つ方は少なくありませんでしたが、近年はそのすっきりとしたフォルムが人気で、シンプルモダンな家に多く採用されています。
敢えて軒先を出さないデザインも人気です。
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片流れ屋根のデメリット・注意点とその対策は?
片流れ屋根には、建築コストを抑えられたり室内の快適性を高めたりと、多方面からのメリットがあります。
ただし、それと同時に事前に知っておかなくてはいけないデメリットもあります。
片流れ屋根を採用する際は、これから紹介するポイントをしっかりと把握しておきましょう。
その01「外壁・屋根・雨樋の劣化に注意しなくてはいけない」
全ての外壁面に軒が出ている寄棟屋根と比べて、片流れ屋根は外壁に雨水が伝わりやすい点がデメリットです。
特に屋根の高い位置に接する外壁面は、軒がほとんどでないため、どうしても吹き付ける雨が直接当たってしまいます。
また、雨水は一方向に流れるため、それを受ける雨樋にはどうしても負担が集中する点は否めません。
南面を向いた屋根は、紫外線による劣化にも注意が必要です。
住み始めてからも、ずっと家について相談できる施工会社を選びましょう。
その02「雨や雪が局所的に落ちてくる」
屋根が一方向に傾斜している片流れ屋根は、局所的に雨や雪が落ちてきます。
そのため、その部分の水はねへ対策をとっておかなくてはいけません。
隣地との距離が狭い場合には、ご近所トラブルにならないように気をつける必要もあります。
また、多雪地域では、軒先から落ちた雪が積み重なり、屋根上の雪と繋がってしまうと、重量で軒が折れてしまう点にも気をつけましょう。
雨や雪の対策を取れば、落ちる場所を把握しやすくリスクを予測できるため、デメリットがメリットになる可能性もあります。
また、水が溜まらないように、排水溝を作っておくのもおすすめです。
多雪地域では、屋根の下をこまめに雪かきできるようにスペースを確保しておくことをおすすめします。
その03「屋根のメンテナンス時に仮設費が割高」
片流れ屋根を急勾配にする場合は、メンテナンス時のコストについても知っておきましょう。
6寸勾配と呼ばれる急な傾斜の屋根にすると、屋根材の塗装や張り替えなどのメンテナンスを行う際に、「屋根足場」が必要となります。
一般的に、1㎡あたり1,000円程度かかるため、30坪の家(=屋根面積140㎡程度)ですと、屋根足場だけで14万円程度かかってしまう可能性があります。
その04「屋根裏の空気を換気しにくい」
屋根の下、つまり小屋裏の空気は、軒先の低い部分から屋根の高い方向へ流れていきます。
しかし、その距離が長い片流れ屋根ですと、換気スピードが遅い傾向があります。
そのため、どうしても小屋裏へ屋根から伝わった暑い空気がこもりやすく、室内温度にまで影響を及ぼしかねません。
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〈片流れ屋根に関する気になる疑問〉雨漏りや平屋との組み合わせについて
片流れ屋根について調べてみると、「雨漏りしやすい」などの気になるワードを見かけるでしょう。
そこで、ここでは多くの方が疑問に思う点について、“住宅づくりのプロ”がお答えします。
Q.「片流れ屋根は雨漏りしやすいって本当?」
A.「外壁からの雨漏りリスクは高めだが、定期的なメンテナンスで解消できる」
片流れ屋根は一枚の屋根で構成されており、シンプルで取り合い部分が少ないため、屋根からの雨漏りリスクはむしろ低めです。
ただし、外壁に雨が当たりやすく、手入れをしないと劣化が早まる点には注意が必要です。
つまり、定期的な点検・メンテナンスを徹底していれば、特別に雨漏りを警戒する必要はありません。
Q.「片流れ屋根と平屋の組み合わせがおすすめな理由は?」
A.「窓計画によって平屋でも日差しを取り入れやすい・ロフトが作りやすい点もポイント」
片流れ屋根は、最近人気の平屋と相性が良いとされています。
その理由は、平屋の懸念点でもある日差しを多く取り入れられる窓が設置しやすい点が挙げられます。
また、平屋はどうしても収納空間が確保しにくいため、小屋裏を納戸やロフトにして床面積を増やせる点もポイントです。
Q.「暑さ解消のために換気棟は取り付けられる?」
A.「メーカーによっては片流れ屋根用換気棟がある」
換気棟とは、小屋裏の空気を煙突のように大棟(屋根の最も高い場所に設置されている棟)から排気するためのパーツです。
他の屋根とは棟の納まりが異なる片流れ屋根ですと、この換気棟が付けられないと思う方もいるかもしれませんが、屋根材メーカーによっては片流れ屋根用換気棟パーツを作っているところもあります。
詳しくは、施工会社へ相談してください。
Q.「片流れ屋根におすすめの屋根材は?」
A.「屋根勾配によって適した屋根材は異なる」
片流れ屋根に限らず、屋根材を選ぶ際には、勾配がポイントとなります。
- 日本瓦・洋風瓦:4寸5分(10:4.5)〜6寸(10:6)程度〈急勾配〉
- シングル屋根材:3寸(10:3)〜6寸(10:6)程度〈中勾配〉
- 金属屋根材(縦葺き):一寸(10:1)〜100:1程度〈低勾配〉
屋根勾配に合わせて適切な屋根材を選ばないと、雨がスムーズに流れ落ちず、雨漏りを引き起こしかねません。
デザインも重要ですが、必ず屋根勾配にあった屋根材を施工会社に選んでもらいましょう。
まとめ|片流れ屋根でおしゃれな外観の家に
片流れ屋根には、性能面・デザイン面・コスト面でメリットがありますが、採用する前に知っておかなくてはいけないデメリットもあります。
欠点を解消するための対策をプランに取り入れておくことが重要です。
ずっと住めるマイホームを建てたい方は、片流れ屋根の家を多く建ててきた会社へ相談することがポイント。
私たち“入沢工務店”は、高性能かつスタイリッシュな木造住宅を手掛けてきた実績があります。
今まで培った経験や知識をもとに、居心地がいいだけではなく、プラン・コスト共にお客様のご要望を叶えられる住まいをご提案させていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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下記ページでは、当社で住まいを建てられた方の感想を紹介しています。
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地元密着で家づくりと向き合ってきた私たちだからこそ、地域特性を踏まえた住まいを実現させられます。
「住む人と、つくる人。そのお互いの顔が見える家づくりの大切さ」を常に意識しながら、お客様の理想を叶えるお手伝いをさせていただいております。
お客様一人一人に寄り添いながら少数精鋭のプロ集団で家づくりに取り組んでいますので、年間に携われる棟数は決して多くはありません。
しかし、地元の方に満足していただける工務店であり続けられるよう、お客様の声に常に耳を傾けています。
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