年齢問わず、ご家族皆さんが笑顔で暮らせる住まいにするためには、日常生活を送る上で障壁となる要素を取り除かなくてはいけません。
そこで思い浮かぶのが、「バリアフリー住宅」。
しかし、いまいちどのような間取りにするべきか分からないという方も多いでしょう。
そこで、今回は「バリアフリー住宅」について、間取りや設えのポイントを紹介します。
これからマイホーム建設を検討する方はもちろん、今のお住まいをより暮らしやすくしたい方も、ぜひ参考にしてください。
●誰もが住みやすい家にするためには、間取りの構成、内装材・設備機器選びなど、様々な視点で家づくりについて考える必要があります。
●入沢工務店は、山梨にオフィスを構え“地元密着”をコンセプトに家づくりに励んでいます。
Contents
「段差がない」だけじゃない!誰もが暮らしやすい住宅の10要素
バリアフリー(英:barrier free)を直訳すると、「段差を取り除く」となりますが、日本における建築設計においては、もう少し広い意味合いで使われます。
高齢者や障害者の方が生活する上で、物理的・社会的・心理的な“バリア=障壁”を取り除く意味と捉えるのが一般的です。
つまり、厳密に言うと「段差をなくす」だけがバリアフリーではありません。
日本でバリアフリーという言葉が普及し始めたきっかけは、1982年に発表された「身体障者の利用を配慮した建築設計標準」と言われています。
ただし、この段階ではあくまでもガイドラインであり推奨の域を脱していませんでした。
また、その対象はあくまでも公共施設などであり、住宅のバリアフリー化が進むのはもう少し先です。
住宅(共同住宅)のバリアフリー化に関する内容が初めて盛り込まれたのは、2006年に制定された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称:バリアフリー法)」。
この中では、高齢者・障害者の方に限らず、お子さんや妊娠中の方など、誰もが利用しやすい建築物にすることが明記されています。
ただし、法律の対象となるのは公共施設及び共同住宅(マンションなど)のみで、戸建住宅は含まれていません。
しかし、バリアフリー住宅づくりのヒントとなるため、ポイントを見てみましょう。
これらのポイントは日常生活を送る上で最低限必要な要素ですが、私たち“入沢工務店”はこれだけとは考えていません。
● 駐車場は誰でも楽に乗り降りできるスペースがあること。
● 前面道路から玄関までスムーズにアプローチできること。
● 階段など止むを得ない段差には手すりをつけ、かつ急傾斜にしないこと。
● 必要であればホームエレベーターを設置すること。
● 廊下は誰でも安全かつスムーズに移動できる幅があり、極力行き止まりは作らないこと。
● トイレや浴室は車椅子などでも使いやすいようにすること。
● 滑りにくく耐衝撃性のある床材にすること。
● 目や耳に負担をかけない工夫がされていること。 ● 日常生活だけではなく、“楽しい時間”も過ごせること。
最近では、年齢や障害の有無に限らず誰でも過ごしやすい建築を「ユニバーサルデザイン住宅」と呼び、バリアフリー住宅の進化系として浸透しています。
ユニバーサルデザインとは、あらかじめ年齢や性別、体格などにとらわれず誰もが使いやすいデザインを取り込む理念です。
ユニバーサルデザインは、段差や空間の狭さなどの物理的な障壁だけではなく、温度・サインなどの色やデザイン・触り心地などもその対象としており、住宅へ応用する事例も増えています。
“10の要素”を踏まえたバリアフリー住宅の間取り・家づくりのポイント
では、家族みんなが暮らしやすい家にするためには、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか?
先ほど紹介した10の要素に沿って、それぞれ詳しく見ていきましょう。
玄関アプローチ
前面道路や駐車場から玄関までの間も、スムーズに移動できることが重要です。
介助者・被介護者の両方が同時に移動するためには、少なくても幅120以上の通路、段差があればスロープ、連続した手すりを設ける必要があります。
また、滑りにくい素材の床仕上げにすることも必須です。
忘れがちなのが、側溝の処理。
通路やスロープを横断するように排水溝がある場合は、その蓋と通路面の段差を極力少なくして、杖先や車椅子のキャスターがはまってしまわないように、グレーチング(蓋の網目)の間隔が2cm以下のものを選ぶことがポイントです。
また、足元を十分に照らすエクステリアを設置することも忘れないようにしましょう。
駐車場
車椅子の方がいる場合には、少なくても350cm以上の幅が必要です。
また、玄関までを最短ルートでアクセスできるように配置計画を検討しなくてはいけません。
雨の日に傘を刺さずに乗り降りができるように、カーポートなどの屋根を設置しておくこともおすすめします。
駐車場の脇に自転車を停める場合は、通路にはみ出さないようにやはり十分なスペースを確保しなくてはいけません。
複数台止める場合は、サイクルラック(サイクルスタンド)などを設置すると、定位置に駐輪しやすくなります。
出入り口
車椅子の方や杖をついた方が出入りするためには、最低でも80cm以上の間口が必要です。
頻繁に出入りする場所は、90cm以上あると望ましいでしょう。
開きドアですと車椅子の方がご自身で開閉できませんし、その他の方でも開けっ放しにして出入りするには少々邪魔になってしまいます。
ですから、玄関ドアや内装ドアは出来るだけ引き戸を採用することをおすすめします。
ただし、勢いよく閉めてお子さんが指などを挟まぬように、ソフトクローズタイプのドアを選ぶのもポイントです。
廊下
車椅子の方がスムーズに移動するためには、廊下幅が90cmは必要とされています。
また、歩いている人と行き交うためには、最低でも120cm程度の幅がなくてはいけません。
しかし、戸建住宅の廊下幅を全て120cm確保することはあまり現実的ではないでしょう。
ですから、よく家族の行き交う場所にホールなどを設け、一時的に退けるようにしておくなどの工夫を加えておくのがおすすめです。
また、方向転換がスムーズにできないという方もいらっしゃるため、出来るだけ行き止まりを作らず、回遊性のある間取りにするのもポイント。
行ったり来たりする必要もなくなり家事動線も短くなるため、どなたにとっても快適です。
階段・ホームエレベーター
やむを得ず階段を設ける場合、手すりを設置し十分な幅を確保することも重要ですが、その形状にも気をつけなくてはいけません。
最も良いのが、直階段、つまり曲がりのない階段。
万が一、誰かが抱きかかえて昇り降りしなくてはいけない場合もスムーズです。
落下事故の被害を最小限に抑えるため、中間に踊り場を設けると、さらに安心でしょう。
最近デザイン性を求める方から人気の蹴上げ(けあげ)のないオープン階段は、転倒事故を防ぐ意味でも避けることをおすすめします。
視覚的に段差が分かりやすくしておくのも重要で、フットライトなどで足元をしっかり照らす方法や、階段の踏み面のみ色を変えて、視力が落ちても見分けがつくようにしておく方法も採用してみてください。
ホームエレベーターの導入も検討してみても良いでしょう。
最近は、狭スペースでも設置でき、地下のピット深さが200mm程度と床下スペースで十分収まるタイプもありますので、それほど大掛かりな工事は必要ありません。
また、間取りにさほど影響は出ません。
水回り(キッチン・トイレ・洗面・浴室)
水回りのバリアフリー化は、介護が必要な方が自尊心を持って暮らしていくためには欠かせません。
どんな方でもアクセスしやすいように十分なスペースを取ることはもちろん、キッチンや洗面などのカウンター高さや、腰掛けたままでも作業できる仕様になっていることも重要です。
最近多い対面式キッチンを採用する場合は要注意。
ぐるりと回り込んでキッチン内にアクセスしなくてはならず動線が長くなってしまいますし、作業スペースを広く取らないといけないため、ダイニングの広さに影響します。
一方、壁付のキッチンにすれば最短距離でアクセスできますし、作業スペースとダイニングスペースを兼用できるため、無駄がありません。
内装材(壁紙・床材)
まず、床材は滑りにくい表面加工がされているものや、転んだ際の怪我リスクを最小限に抑えられる耐衝撃性のあるものを選びましょう。
最近は、滑りにくい上に耐キズ性・耐汚性が高く、抗菌コーティングが施されているものも多く販売されています。(参考:DAIKEN|おもいやりフロア)
被介護者の方が過ごす部屋は、掃除のしやすいビニル系床材にしておくのも良いでしょう。
また、車椅子移動の際に壁にキズや汚れがつかないよう、腰壁パネルなどを貼る方法もおすすめです。
窓計画
窓は太陽の光や新鮮な空気を取り入れるためには欠かせません。
多くの方は「窓は大きいに越したことはない」と思っているかもしれませんが、特に高齢者の方にとっては太陽の光によって居心地が悪くなる可能性があります。
なぜなら、白内障を発症した方は通常の状態よりも眩しさを感じやすいからです。
60代に入ると、その発症リスクが一気に高まります。
そのため、高齢の方が過ごす場所の窓計画を検討する場合は、出来るだけ背面から太陽の日が差し込むようなレイアウトにしたり、強い日差しが入り込みにくい東側や北面に設置すると良いでしょう。
ただし、適度な日光浴は自律神経を整えるためにも必要なので、眩しくない工夫を凝らしながらも日の光が差し込む環境にしておくことは重要です。
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ウッドデッキ
体が不自由になったからといって、楽しい時間を削る必要はありません。
遠出の外出が難しくても、ご自宅のお庭でBBQを楽しんだり、お子さんが遊んでいる姿を眺める時間を作ってみましょう。
そこでおすすめなのが、ウッドデッキです。
リビングから段差なく移動できる間取りにしておけば、室内に開放感をプラスすることもできます。
「周りからの視線が気になる」という方には、中庭にウッドデッキを取り入れてみましょう。
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バリアフリー住宅に使える補助金は?
住宅をバリアフリー化することでもらえる補助金がいくつかあります。
それぞれ条件が異なりますので、ぜひ詳細を見て、利用できるものがないか確認してみてください。
〈介護保険制度〉
こちらは、既存住宅をバリアフリー改修する場合に利用できます。
要介護者などに認定された方のお住まいに、スロープや手すりの設置、トイレ改修などを行った場合、最大で支給対象限度額20万円の70〜90%(14〜18万円)が支給されます。
こちらは、住宅の新築・リノベーションのどちらも対象です。
ただし、省エネ工事を併せて行うことが必須条件で、新築は最高100万円、リノベーションは最高60万円が支給されます。
〈固定資産税の減額〉
令和6年3月31日までに既存住宅のバリアフリー改修を行った場合、翌年度分の固定資産税から3分の1が減額されます。
〈所得税特別措置〉
バリアフリー改修工事を行った場合、改修後住み始めた年の所得税が一定額控除されます。ただし、対象期間は令和5年12月31日までです。
これらの他にも、都道府県・市町村単位で独自の補助事業を設けているところも多いので、バリアフリー住宅の建設・リノベーションをご検討の方は、管轄の事務所へ確認してください。
まとめ|バリアフリー住宅は誰もが住みやすい家
バリアフリーは単に段差を全て取り除くだけでは不十分です。
間取りや内装、設備機器選びなど、さまざまな視点で“みんなが住みやすくなるかどうか”を検討しなくてはいけません。
「家族全員が笑顔で暮らせる家にしたい」という方は、ぜひ“入沢工務店”にご相談を!
常に最新の情報を取り入れ、プラン・コスト共にお客様のご要望を叶えるべき努めています。
今まで培った経験や知識をもとに、居心地の良い住まいをご提案させていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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下記ページでは、当社で住まいを建てられた方の感想を紹介しています。
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地元密着で家づくりと向き合ってきた私たちだからこそ、地域特性を踏まえた住まいを実現させられます。
「住む人と、つくる人。そのお互いの顔が見える家づくりの大切さ」を常に意識しながら、お客様の理想を叶えるお手伝いをさせていただいております。
お客様一人一人に寄り添いながら少数精鋭のプロ集団で家づくりに取り組んでいますので、年間に携われる棟数は決して多くはありません。
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