皆さんは、“床下換気”についてご存知ですか?
「なぜ、床下を換気しなくてはいけないの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
実は、床下の空気を循環させることは、家を長持ちさせるためにとても重要となります。
そこで、今回は「床下換気」について、その重要性や具体的な方法、注意点などについて詳しく解説します。
これからマイホーム建設を検討する方はもちろん、今のお住まいを長持ちさせたい方も、ぜひ参考にしてください。
●基礎の形状や家の性能によって、適切な換気方法が異なります。
●入沢工務店は、山梨にオフィスを構え“地元密着”をコンセプトに家づくりに励んでいます。
Contents
床下換気はどうして必要?建築基準法ではどんな決まりがある?
床下は普段あまり意識しない場所なので、劣化に気がつきにくいかもしれませんが、家の荷重を支える重要な構造体である土台が晒されている場所です。
土台が劣化すれば、床が傾いたり家の耐震性が落ちたりするなど、深刻な問題に発展しかねません。
土台の耐久性に直接影響を及ぼすのが、「湿気」です。
最近の住宅は、基礎内側の土壌全面をコンクリートで覆う“ベタ基礎”が主流であるため、地表から上がってくる湿気の影響を受けにくくなっていますが、逆に家の断熱性が高まり、地熱との温度差によって結露を引き起こすケースも増えています。
結露によって床下の湿度が上がってしまえば、シロアリが繁殖して蟻害を受けたり、木材の含水率が上がり腐朽したりするリスクは避けられません。
「室内の床がベタつく」・「畳にカビが生える」などの目に見える問題が現れた時には、大掛かりな修繕が必要なところまで劣化が進んでいる可能性が高いでしょう。
床下の湿度を問題のない状態に保つために有効なのが、「床下換気」です。
床下空気を定期的に入れ替え、湿気がこもることを防げます。
「長期優良住宅」の認定を受ける場合も、劣化対策として「床下の防湿及び換気措置」が必須条件として挙げられていることからも、家を長持ちさせるためには欠かせない要素と言って間違い無いでしょう。
■ 床下の換気措置
(引用:国土交通省|長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について)
外壁の床下部分に、いずれかの換気口を設けること。
① 壁長さ4m以下ごとに有効面積300㎠以下の換気口
②〈ねこ土台の場合〉壁の外周にわたって1m当たり有効面積75㎠以下の換気口
③その他同等の換気性能のもの
ちなみに、建築基準法ではどのように扱われているのでしょうか?
条文の中には換気への文言はあるものの、「床下換気」という表記はありません。
ただし、床下の防湿に関する決まりがあります。
(居室の床の高さ及び防湿方法)
第22条 最下階の居室の床が木造である場合における床の高さ及び防湿方法は、次の各号に定めるところによらなければならない。ただし、床下をコンクリート、たたきその他これらに類する材料で覆う場合及び当該最下階の居室の床の構造が、地面から発生する水蒸気によつて腐食しないものとして、国土交通大臣の認定を受けたものである場合においては、この限りでない。
一 床の高さは、直下の地面からその床の上面まで45cm以上とすること。二 外壁の床下部分には、壁の長さ5m以下ごとに、面積300㎠以上の換気孔を設け、これにねずみの侵入を防ぐための設備をすること。
(引用:建築施行令)
この規定は従来の布基礎(T字を逆にした断面の鉄筋コンクリート基礎が連続している工法)が主な対象で、最近主流のベタ基礎は該当しない可能性が高いです。
そのため、近年建てられた新築住宅の基礎を見ても、換気口はほとんど設置されていません。
床下の結露を防ぐのに効果的な換気方法は?
では、効果的に床下換気をするにはどのような方法があるのでしょうか?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
基礎に設置する床下換気口
ベタ基礎が普及する前まで一般的に用いられていた方法で、建築基準法で定める「床下換気孔」にも該当します。
床下の土壌がそのまま現れている布基礎の住宅に設置されますが、換気口に近い部分と奥の角部分とでは換気量が大きく異なり、換気ムラができてしまう点がデメリットです。
また、基礎にいくつも穴を開けなくてはいけないため、耐久性・耐震性も気になります。
あくまでも自然換気であり、コントロールできないため、雨天などには床下の湿度も上がってしまうため、最近はあまり使われません。
基礎パッキン(土台パッキン)
最近一般的に用いられる方法で、基礎コンクリート上端に取り付け、土台の間に通気口を設けます。
連続しているため、床下換気口のような換気ムラができませんし、基礎に穴を開けないため、耐久性・耐震性の面でも安心です。
ただし、こちらも換気量をコントロールできないため、外部の空気環境の影響を受けやすい点は懸念されます。
床下換気扇
新築住宅はもちろん、既存住宅のリフォーム時に多く採用されているのが「床下換気扇」です。
ファンで強制的に空気を排出できるため、効率的かつ高い効果が得られます。
屋外の湿度をセンサーが検知し、雨天時や曇天時など湿度が高い時には稼働を止め、逆に湿度の低い晴天や日中に主に換気するなどの細かな設定も可能です。
ただし、設備機器であるため永続的に機能する訳ではありません。
そのため、定期点検やメンテナンスは欠かせません。
「いつのまにか動かなくなっていた」ということになれば、床下の環境が逆に悪くなる可能性もあるため、注意しましょう。
床下換気の注意点やデメリットはある?「いらない」って本当?
床下換気について調べてみると、「いらない」「不要」「寒い」などのネガティブな言葉も見かけます。
確かに、取り入れ方次第では家の快適さを損ねたり、逆に劣化を早めてしまう可能性はゼロではありません。
ポイントを押さえ、正しい換気方法を採用することが重要です。
「古い住宅では足元の寒さが気になることも」
床下の空気が頻繁に入れ替わるということは、冬には寒い空気で満たされてしまうということです。
築年数が古く断熱性が低い住宅ですと、床下の冷気が室内の床から伝わり、足元を冷やしてしまいます。
最近の高気密高断熱住宅では、基礎断熱や床断熱が採用されているため、床下換気による足元の冷えを心配することはありませんが、既存住宅にお住まいで寒さが気になる方は、あわせて床の断熱リフォームを検討しましょう。
「基礎断熱を採用している住宅は工法選びが重要」
最近増えている高気密高断熱住宅の多くは、地表から伝わる冷気をシャットアウトする基礎断熱が採用されています。
床下空間も室内と捉え、基礎コンクリートの内外を断熱材で覆うため、床下の温度が一定に保たれます。
しかし、せっかく基礎断熱をしても、床下換気によって外部の空気が出入りしてしまえば、断熱性は落ちてしまいます。
そのため、外部の空気と換気するのではなく、室内の空気と入れ替えをしなくてはいけません。
室内に通じるように床に換気口を開けたり、ダクトでつなぎ熱損失を最小限に抑える工夫が必要です。
「定期的なメンテナンスが必要」
換気能力の高い床下換気扇ですが、機器である以上、必ず寿命があります。
耐用年数は15〜20年程度なので、その都度取り替えをしなくてはいけません。
また、運転が止まってしまえば、効果の低い床下換気口がある状態より湿度が上がってしまう恐れすらあります。
ですから、細かな不具合も直ちに見つけられるように、最低でも3年に一度程度は定期点検を依頼しましょう。
点検によって、床下の状態も確認できるため、一石二鳥です。
「雨の日には逆に湿気を取り込む可能性も」
床下換気口や基礎パッキンだけですと、雨天時にももれなく外気を床下へ取り込んでしまうため、逆に湿度の上昇は避けられません。
ですから、やはり外部の湿度によって換気量を調節できる床下換気扇を併用するのがおすすめです。
また、床下除湿剤や調湿剤を床下に敷き込む方法もあります。
最近では、木炭を利用する方法にも注目が集まっています。
木炭は、燃料用以外の用途でも幅広く使われてきましたが、最近では、これら新用途木炭としての需要が増加しています。
(引用:林野庁)
住宅の床下に敷設すると、梅雨期等に床下の湿度及び木材の含水率が高まるのを緩和し、木材の腐朽を防ぎます。また、室内等を適切な湿度に保つことによって、カビの発生を防ぎ、それをエサとする微生物やシロアリの被害を防ぐことになります。
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まとめ|床下換気は適切な方法を選ぶことが重要
“長寿命化”を目指すなら、ぜひ床下換気についてもじっくり考えてみてください。
ただし、基礎の種類や家の性能によって、適切な換気方法は異なりますし、デメリットへの対策も必要です。
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