地球温暖化対策や二酸化炭素排出量削減、SDGs …、これらのキーワードは毎日のように様々なシーンで耳にするでしょう。
日本でも2050年までにカーボンニュートラルな社会を実現すべく、各産業ごとで色々な取り組みを行なっています。
住宅業界も例外ではなく、特に「住宅の省エネ化」はお客様からの関心が年々高まっています。
しかし、まだまだその詳細を知らず“なんとなく”で選ぶ方が多いかもしれません。
そこで、今回は「省エネ住宅」の基準から、2022年に決定した“省エネ義務化”の詳細、関連する補助金まで丸ごと解説します。
これから住宅を建てる方は、ぜひ参考にしてください。
●基準をクリアすれば認定が受けられ、補助金や税控除制度を利用できます。
●入沢工務店は、山梨にオフィスを構え“地元密着”をコンセプトに家づくりに励んでいます。
Contents
「省エネ住宅」に必要な性能は?
「省エネ住宅」と聞くと、なんとなく環境に配慮されているようなイメージを持つ方が大半でしょう。
確かに、「省エネ住宅」は家庭で消費されるエネルギーの約1/3を占めるとも言われている冷暖房機器の効率を上げ、その消費電力を抑えることを目的としています。
ただし、得られるメリットは環境負荷の軽減だけではありません。
消費エネルギーを削減して環境負荷を軽減
室内環境を快適に保つ
真冬や真夏でも最低限の空調エネルギーで快適な温度に保てます。
光熱費が削減できて経済的
空調効率が上がり、電気代などの光熱費を抑えられます。
健康的に暮らせる
室内の温度差によるヒートショックの発症を抑えるなど、健康被害のリスクを最小限にできます。
家の劣化を防げる
結露を抑えて、木造躯体の腐朽やカビ・シロアリ発生を抑えます。
これらを実現する上で欠かせない“3本柱”が、「断熱」「気密」「日射遮蔽」です。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
「断熱」
真冬に室内で温められた空気の熱を外部に逃さず、真夏には外部の熱を室内に伝えないことで、空調機器の消費電力は大幅に削減できます。
そこで欠かせないのが、住宅の“断熱性”。
壁・床・天井・屋根・開口部(窓・ドア)の断熱性を高めれば、家の保温力が高まり、最小限のエネルギーで快適な室内環境を作れます。
その指標として用いられているのがUA値(外皮平均熱貫流率)で、以下のように求められます。
UA値(外皮平均熱貫流率)[W / ㎡K] = 建物が失う熱量の合計[W / K]÷ 外皮面積(屋根・外壁・床・開口部・基礎立ち上り部分の合計面積)
このUA値が小さければ小さいほど省エネ性能が高いことを示し、法律で定めた「断熱等級」や「省エネ等級」の基準も、このUA値で設定されています。(参考:住宅の品質確保の促進等に関する法律)
「UA値が低い=省エネ性が高い」であるため、省エネ住宅に断熱性は欠かせません。
「気密」
いくら断熱性が高くても、住宅が隙間だらけであれば空気の熱は出入りしてしまいます。
そのため、合わせて重要なのが「気密性」です。
最近では“高気密高断熱住宅”と銘打った住宅が増えているのも、省エネ化が重視されている証拠と言えるでしょう。
住宅の気密性を表す指標が、C値(住宅隙間面積の割合)で、以下のような式で求められます。
C値(住宅隙間面積の割合)= 建物全体の隙間面積合計 ÷ 延床面積
一般的にはこの数値が「1」程度であれば“高気密住宅”と呼んでも支障がない性能を持ち合わせていることになります。
UA値と同じく、「断熱等級」や「省エネ等級」の基準にもなっており、数値が少なければ少ないほど気密性が高いことを示します。
「日射遮蔽」
空調効率を上げることももちろん大切ですが、同時に日射を遮蔽すれば、室温の上昇を防げます。
「西向き・南向きの部屋だと昼間暑くて過ごせない」そんな経験をしたことのある方もいらっしゃるはずです。
庇を設置するなど、建築的工夫で日射遮蔽することで、空調利用率を抑えて省エネに繋がります。
日射遮蔽の性能レベルを判断する指標が、「冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)」で、以下のように求められます。
冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)= 日射熱取得量(屋根・外壁・窓)の合計 ÷ 外皮面積(屋根・外壁・開口部の合計面積)
この数値が小さいほど省エネ性能が高いことを示します。
最近は、“パッシブデザイン”という手法を用いた住宅も増えており、夏の高い角度から差し込む日射は遮り、冬の低い角度からの日射は取り入れて、できるだけ電力を使わないで快適な環境を保つ試みが行われています。(参考:パッシブハウス・ジャパン)
「省エネ住宅」かどうかの基準は?
“省エネ住宅化”を実現させるためには、以下のような工事が必要です。
- 外壁・小屋裏・床下に十分な断熱材を充填し、家を丸ごと包み込む
- 窓に高断熱サッシ・高断熱ガラスを用いて、開口部からの熱損失を防ぐ
- 家の隙間を極力無くして気密性を高め、なおかつ24時間換気システムで空気環境を良好に保つ
- 庇などの遮熱設備を取り入れて、外部熱の影響を抑える
これらの一つでも欠けてしまうと、「省エネ住宅」としては成り立ちません。
では、住宅の省エネ性能に基準はあるのでしょうか?
住宅に最も関連する基準が「住宅の省エネルギー基準」です。
2015(平成27)年に交付された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(通称:建築物省エネ法」の中では、住宅の省エネルギー制度の評価基準が決められました。
- 住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準
- 設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準
それぞれの認定基準数値をクリアした住宅は、「省エネ住宅」としての性能を持ち合わせていることになります。
2025年からは“省エネ住宅化”が義務化するって本当?今後はさらに厳しくなる?
今年2022(令和4)年に、「住宅の省エネルギー基準」を定めている「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(通称:建築物省エネ法)」が大幅に改正されました。
主な変更内容は以下の通りです。
- 建築主の性能向上努力義務
- 建築士の説明努力義務
- 省エネ基準適合の拡大
- 適合性判定の手続き・審査
- 住宅トップランナー制度の拡充
- エネルギー消費性能の表示制度
- 建築物再生可能エネルギー利用促進区域
この中でも、これから家を建てる方に最も関係するのが「省エネ基準適合の拡大」です。
2022年の改正から3年以内、つまり遅くとも2025年までに、“すべての新築住宅・新築非住宅に省エネ適合義務が課せられる”こととなったのです。
ここでいう“省エネ適合義務”とは、ずばり「断熱等級4以上であること」と「建築物省エネ法の省エネ基準に適合すること」です。
断熱等級とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」の中で定められている省エネ基準であり、2022年3月までは等級4が最上グレードでした。
しかし、2022年4月には等級5が、同年10月には等級6・7が作られ、2025年以降に建てられる新築住宅においては、今まで最上級であった「断熱等級4」以上の性能を持ち合わせることが義務化されます。
「建築物省エネ法の基準」は、躯体・断熱材の熱貫流率や設備機器の一次エネルギー消費量を定めており、それらをクリアすると“省エネ基準に適合した”こととなります。
ちなみに、2030年までに「断熱等級5」を義務化する動きも進んでおり、東京都の太陽光発電パネル設置義務化など、今後より一層住宅の省エネ化が進むことが予想されます。
新築の「省エネ住宅」関連する補助金や税控除制度
省エネ住宅を建てるには、通常の住宅を建てるよりも高い費用がかかります。
ですから、国や自治体は省エネ住宅を対象とした補助制度や税控除を行なっており、それぞれ決められた性能基準をクリアしていれば、建設費用の一部をそれらで賄うことができます。
ここでは、主な制度を紹介します。
こどもエコすまい支援事業
2022年11月28日に終了した「こどもみらい住宅支援事業」の後継事業として、予算1500億円が投入された住宅補助制度です。
まだ申請は開始していませんが、2022年12月中旬から事業者登録が開始され、その後申請受付が始まる見込みです。
若い世帯や子育て世帯の省エネ住宅建設及び購入を下支えすることが目的であり、基準以上の省エネ性を持った住宅に対して「最大100万円/戸」が支給されます。
〈参考ページ〉
ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)支援事業
ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)とは、家庭での消費エネルギー量と、太陽光発電によって作り出すエネルギーを“プラスマイナスゼロ”にすることをコンセプトとした住宅です。
「住宅の省エネルギー基準」で定められているZEH基準をクリアした住宅は、最大で「95万円/戸」支給されます。
ただし、只今実施されている四次募集は、2023(令和5)年1月6日17:00で申請が締め切られてしまいますし、その前に募集上限に達すれば終了してしまう可能性もあります。
ただし、五次募集が開催されることも想定できるため、これから住宅建設を検討し始める方も、最新情報をチェックしましょう。
〈参考ページ〉
一般社団法人 環境共創イニシアチブ|ZEH支援事業 公募情報
長期優良住宅支援認定制度
長期優良住宅認定制度は、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき“長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅”を認定する制度です。
認定基準をクリアすると、住宅ローンの金利引き下げや税の特例措置、地震保険料の割引を受けられます。
ただし、認定を受けるための条件は「省エネ」だけではなく、「長期使用への配慮」「居住環境への配慮」や「自然災害への配慮」なども含まれます。
〈関連ページ〉
住宅ローン減税(所得税)
住宅ローンを借り入れて新築住宅を購入した場合は、年末のローン残高の0.7%を所得税から最大13年間控除されます。
それに加えて、長期優良住宅・低炭素住宅の場合は「182万円」、ZEH水準省エネ住宅は「136.5万円」、省エネ基準適合住宅ですと「91万円」も控除額が上乗せされます。(※2022年12月時点では令和4・5年分のみ)
〈関連ページ〉
登録免許税減税
長期優良住宅・低炭素住宅の認定を受けた住宅を取得した場合、その不動産登記にかかる登録免許税の税率が通常より引き下げられます。
一般戸建住宅の所有者移転登記ですと、長期優良住宅は「0.3%→0.2%」、低炭素住宅は「0.3%→0.1%」となりますので、必ず登記を行う司法書士へ確認しましょう。
〈関連ページ〉
国税庁|特定の住宅用家屋に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ
住宅ローンの金利引き下げ
住宅金融支援機構の「フラット35」では、長期優良住宅・ZEH住宅の建設を対象に、通常よりも金利の低いプランを設けています。
これを利用するには公的な認定を受けなくてはいけないため、基準がクリアできるかどうか必ず施工会社へ確認しましょう。
〈関連ページ〉
山梨県で省エネにこだわった住宅を建てるなら“入沢工務店”にお任せを!
私たち“入沢工務店”では、お客様の家族構成やライフスタイルに合わせたスタイリッシュで個性的な住宅を数多く手がけています。
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安心して長く住み続けられる住宅を実現させるには、これらの力は欠かせません。
“省エネで居心地のいい家を建てたい”とお考えの方は、是非一度私たちにご相談ください。
まとめ|省エネ住宅は環境にも家計にも人にも優しい住宅
家の断熱性・気密性を高めることで、家の省エネ性は確実に向上します。
環境的メリットだけではなく光熱費削減などの経済面でのメリットや、健康的な生活を送れるというメリットもありますので、ぜひ前向きにご検討ください。
建設コストが懸念点となっている方は、ぜひ関連した補助制度を利用するのがおすすめ!
私たち“入沢工務店”では、常に最新の情報を取り入れ、プラン・コスト共にお客様のご要望を叶えるべき努めています。
今まで培った経験や知識をもとに、居心地の良い住まいをご提案させていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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私たち「入沢工務店」は山梨・甲府エリアを中心に注文住宅の設計施工を行っている工務店です。
「住む人と、つくる人。そのお互いの顔が見える家づくりの大切さ」を常に意識しながら、お客様の理想を叶えるお手伝いをさせていただいております。
お客様一人一人に寄り添いながら少数精鋭のプロ集団で家づくりに取り組んでいますので、年間に携われる棟数は決して多くはありません。
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