最近、新築住宅で人気の空間が“アウトドアリビング”。
従来の室内外を分けた間取りとは異なり、それぞれに繋がりを持たせた連続性のあるプランが魅力です。
しかし、残念ながら実際に住まいへ取り入れた人の中には「後悔した」という人も。
そこで、今回はアウトドアリビングを後悔しないために知っておくべきポイントを紹介します。
住まいの間取りをご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
●アウトドアリビングを後悔しないためには、季節の変化や使い方に合わせた工夫を施さなくてはいけません。
●入沢工務店は、山梨にオフィスを構え“地元密着”をコンセプトに家づくりに励んでいます。
Contents
アウトドアリビングのメリット・デメリットは?
アウトドアリビングとは、室内にあるリビング空間と連動するような配置にした屋外空間で、セカンドリビングと呼ばれることもあります。
ウッドデッキなどを隣接させ、大開口でつなげてひと続きの場所として使います。
子どもを安心して遊ばせられる場所や、人目を気にせずくつろぐ場所、DIYなどの作業スペースや洗濯干し場としても使えるため、老若男女問わず様々な世代の方から注目されています。
では、具体的にはどのようなメリットがあり、またデメリットはあるのでしょうか?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット
● 屋外空間を有効に活用できる
● 室内空間に開放感をプラスできる
● 屋外アクティビティを楽しみやすい
● 室内から屋外の様子をうかがいやすい
● 庭の手入れが楽になる
家の設計をする際に、どうしても室内の間取りに注目が集まりがちですが、エクステリアの計画も重要です。
いくら庭があっても、何も工夫しなければただの空地となり、もったいないですよね。
しかし、アウトドアリビングとしてウッドデッキなどを設ければ、活用方法の幅が広がり、より空間を無駄なく使えます。
また、アウトドアリビングには室内外を繋ぐ大開口部が欠かせないため、室内空間にも開放感をプラスできます。
ですから、スペースに限りがあるお宅にこそ、アウトドアリビングはおすすめです。
小さいお子さんのいるご家庭では、屋外の遊び場に困った経験がある方も少なくないでしょう。
「公園に連れていく時間はないけど外で安心して遊ばせたい」「家事をしながら子どもの様子を確認したい」そのような方にとっても、アウトドアリビングはおすすめです。
キッチンで家事をしながらウッドデッキで遊ぶお子さんの姿を眺めることもできますし、大人が室内リビングでくつろいでいる間に、お子さんは外で元気よく遊ぶという時間も実現します。
実用的なメリットとしては、「庭掃除が楽になる」という点が挙げられます。
ウッドデッキを作るということは、その面積分の雑草抜きや芝生の管理などの作業が少なくなるということだからです。
日頃のお手入れを軽減したい方も、ぜひアウトドアリビングを検討してみてください。
デメリット
● 家の建設費に加えてエクステリア施工費がかかる
● 条件次第で建蔽率・容積率に換算されて室内スペースが狭くなる
● メンテナンス費用がかかる
● 検討して作らないと無駄なスペースになりがち
メリットが着目されがちですが、作る前に知っておくべき注意点もあります。
まず、当然のことながらエクステリアの施工費が住宅の建設費に上乗せされてしまいます。
ですから、室内にできるだけ予算をかけたいという方には、あまりおすすめできません。
また、気をつけなくてはいけないのが、建蔽率や容積率。
屋根の有無や建物からどのくらい出ているか、周りが壁で囲われているかなどの条件によっては、建築面積に算入しなくてはならず、建蔽率や容積率にも影響してしまいます。
第二条(面積、高さ等の算定方法)
引用元:e-GOV法令集|建築基準法施工令
建築物(地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。
そのため、建蔽率・容積率のめいいっぱいまで家を建てたい方は当然ですが、その他の場合もじっくり設計士と相談してから間取りを決めましょう。
エクステリアデザインをするということは、それにかかるメンテナンス費用についても想定しておかなくてはいけません。
どんなアウトドアリビングにするかによっても費用は異なりますので、建設時にある程度の金額やメンテナンス時期について把握しておくことをおすすめします。
そして、最も気をつけなくてはいけないのが「“なんとなく”で作ってしまう」点です。
トレンドに流されてじっくり検討せずに作ってしまうと、結局あまり使われない無駄なスペースになる可能性も否めません。
“アウトドアリビング”を後悔する“9つの理由”とその解決方法
“アウトドアリビング”はトレンドということもあり、素敵な施工事例をたくさん見かけるでしょう。
しかし、実際に作った人の感想を見てみると「後悔した」と言っている方も少なくありません。
主な理由は、下の9つです。
● 夏は暑くて冬は寒くあまり使えない
● 日差しが強くて長時間いられない
● 隣家の窓や道路から丸見えでくつろげない
● メンテナンス費用が思ったよりかかる
● 何もなく居心地が悪い
● 外で使う道具の収納場所がなく雑然としてしまう
● 蚊などの虫が気になる
● 室内との行き来が面倒
● 思ったより使わない
では、このような後悔をしないためには、どのようなポイントを押さえればよいのでしょうか?
それぞれ、解決方法・対策を紹介します。
理由① 夏は暑くて冬は寒い
当然のことながら、アウトドアリビングは屋外にあるため、夏の暑さや冬の寒さはどうしても避けられません。
そのため、使いたくても使えないという方も少なくないでしょう。
ただし、暑さ・寒さを室内のように完全にコントロールできないものの、軽減する方法はあります。
フェンスにつた植物を絡ませた「グリーンカーテン」や、ウッドデッキが木陰になる「植栽計画」、日差しを遮る「オーニング」を取り入れると暑さを軽減できます。
寒さ対策としては、アウトドアリビングに「屋外コンセント」を設置して、使う時だけストーブやコタツを持ち出して団欒するのもおすすめです。
また、圧迫感が出ない程度に「風除けフェンス」を作っても良いでしょう。
理由② 日差しが強くて長時間いられない
屋外で過ごすときに通年気になるのが、「紫外線」。
特に小さいお子さんを外で遊ばせたい場合には、何かしらの対策が必要です。
先ほど、暑さ対策で紹介した「オーニング」も効果的ですし、ウッドデッキの周りに柱を立てて「パーゴラ(藤棚)」や「独立オーニング」を設置すると、適度に日差しを遮れます。
理由③ 周りの視線が気になる
敷地が極端に広くない限り、どうしても隣家の2階からや道路からの視線が気になります。
せっかく居心地のいいアウトドアリビングを作っても、これでは気兼ねなく使えません。
フェンスなどで目線を遮ることもできますが、思い切って2階リビングにしてウッドデッキも2階に作る間取りにしても良いでしょう。
また、屋上テラスにすれば、人の目は全く気になりません。
〈関連コラム〉
入沢工務店|コラム|アウトドア好きの人のための家づくり|間取りのポイント&おすすめ設備を一挙紹介
理由④ メンテナンス費用が思ったよりかかる
ウッドデッキなど、長時間紫外線や雨風に当たる場所は、どうしても劣化が早くメンテナンスは欠かせません。
天然木のウッドデッキですと最低でも2〜3年に一度は表面を再塗装することをおすすめします。
ただし、セランガンバツやイペなどの天然ハードウッドですと、メンテナンスフリーで20年程度場合もありますし、木粉とプラスチックを混ぜて作る人工木材も腐食のリスクがほとんどありませんし、シロアリ被害も受けません。
安価な木材で作り定期的に塗装メンテナンスをするか、少々割高でもハードウッドや人工木材を用いてメンテナンス費用を抑えるか、じっくり検討しましょう。
理由⑤ 何もなくて居心地が悪い
ウッドデッキがあっても、そこに何もなければくつろげません。
ですから、座り心地のいいチェアやテーブル、造作ベンチの設置を合わせて検討しましょう。
最近は、BBQグリルやピザ窯、薪ストーブを設置したいというご要望もいただきますが、屋外で火を扱う場合は自治体の火災防止条例に基づいた届出が必要な場合もありますので、事前に詳細を確認しましょう。
(参考:甲府地区広域行政事務組合火災予防条例)
理由⑥ 雑然としてしまう
アウトドアリビングを活用し始めると、お子さんのおもちゃやBBQセット、その他様々な道具がどんどん増えていきます。
それらの収納場所がないと、出しっぱなしになり、せっかくのアウトドアリビングが雑然としてしまいます。
アウトドアリビングを作る際には、必ず屋外物置などとセットでプランニングしましょう。
「室内に収納スペースがあるから」という方も少なくありませんが、いちいち出し入れするのが面倒で、結局片付けなくなってしまうケースも少なくありません。
屋外に十分なスペースがなければ、ウッドデッキ下に収納スペースを設けるのもおすすめです。
理由⑦ 虫が気になる
「アウトドアリビングでゆったりと夕涼みしたくても、虫が気になる」そんな方も多いはずです。
蚊などを全く寄せ付けないようにすることは建築的な工夫では難しいですが、蚊が卵を産んでしまうような水たまりや池を近くに造らず、庭の雑草をこまめに刈り取るなどの工夫で、被害は軽減できます。
ウッドデッキの周りに、防草シートを敷いたり、モルタルやタイルの仕上げにするのもおすすめです。
理由⑧ 室内との行き来が面倒
リビングに隣接しているだけではアウトドアを十分に活用するとは限りません。
室内の床高さとデッキ高さで段差があったり、開口部が重くて開閉が億劫ですと、だんだん誰も寄り付かなくなってしまいます。
できるだけリビングとバリアフリーにして、開口部が大きくて重さが気になる場合は、比較的軽量な樹脂サッシを採用すると良いでしょう。
また、出入りの動線を妨げるような家具配置もNGです。
アウトドアリビングを無駄にしないためにも、ご家族皆さんがアクセスしやすい工夫を凝らすことをおすすめします。
理由⑨ 思ったより使わない
アウトドアリビングに限らず、トレンドの間取りを取り入れた際にありがちなのが「思ったより使わない」という後悔です。
多くの人が魅力を感じているからこそトレンドになるものの、それがどのご家庭にも当てはまるとは限りません。
住まいの間取りを考える際には、設計士のアドバイスを取り入れつつも、そこでどのような生活をするのか具体的にイメージすることが重要です。
また、その時の生活スタイルや家族構成だけではなく、10年後・20年後などの将来も見据えた検討もしなくてはいけません。
これから先、長い間住み続けるマイホームだからこそ、じっくりとあなたのご要望に耳を傾けてくれる施工会社を選びましょう。
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まとめ|せっかくアウトドアリビングを作るなら後悔のない間取りに
アウトドアリビングは、自然の光や風を感じながらくつろげる魅力的な空間ですが、“とりあえず”作ってしまうと、居心地が悪かったりあまり活用されないスペースになったりする可能性もあります。
ですから、まずはアウトドアリビングをどんな風に使いたいかや、必要な設えは何なのかを設計士と一緒にじっくり検討することが大切です。
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