限られた敷地に家を建てる場合、どうしても方角によっては部屋に日光が入らないこともあります。
いくら居心地のいい部屋でも、薄暗くてはもったいないですよね。
そんな時におすすめなのが、「光庭」という手法です。
そこで、今回は「光庭」について、メリット・デメリットや注意点、当社の施工事例を紹介します。
「明るい家にしたい」「一味違う空間を作りたい」という人は、ぜひ参考にしてください。
●注意点を理解しないと、後から不便でメンテナンスしにくい場所になってしまいます。
Contents
“光庭”とは?メリット・デメリットはある?中庭・坪庭との違いは?
「光庭」は、ライトコート(light court)とも呼ばれ、一般的には家の中心に設けられます。
陽の光を効率よく室内まで取り入れる目的があり、光の反射率の高い白などの明るい色を仕上げに使います。
また、反射した日光を取り入れるための大きな開口部も欠かせません。
「中庭とあまり変わらないのでは?」と思う人もいるでしょう。
確かに、空間構成は中庭などと変わりません。
しかし、その主目的が光を反射・拡散させることで、中庭や坪庭はプライバシーを確保しながら屋外空間を楽しむことが目的です。
では、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
メリット
- 周辺環境や立地条件に左右されず、室内に日光を届けられる
- プライベートな屋外空間としても活用できる
- 子供を安心して遊ばせられる
- 光庭を介して、家の中を縦横無尽に行き来しやすい
- 効率的な通風確保にも効果的
なかなか広大な敷地を確保しにくい日本の住宅地において、どうしても隣近所の建物が障壁となって、日光が室内に入りにくいというケースも多いでしょう。
ところが、光庭を設けることで、周りの状況に左右されず効率よく日光を取り入れられます。
中庭と同様に、外部の目を気にせずに屋外空間が楽しめる“アウトドアリビング”的に使える点も大きな魅力です。
BBQを楽しんだり、子供を安心して遊ばせたり、ハンモックを設置してのんびり過ごしたり…、自宅で豊かで充実した時間を過ごしたい人におすすめです。
また、光庭がどの部屋とも接するようなプランにすると、行き来がしやすくなるだけではなく、どの部屋にも満遍なく通風が確保できます。
デメリット
- 施工費が高くなる
- メンテナンス費用がかかる
- プランが制限される
光庭を作るとなると、どうしても家の形状が複雑になり、庭の排水工事や電気工事などが追加されます。
また、外壁面積が増えるため、外壁塗装などのメンテナンスコストも上がることが考えられます。
ただし、コストがかかる分、得られるメリットも多いため、それらを加味して光庭を検討しましょう。
平面プランに制限が生まれる点もネックです。
家の中央に光庭を設けると、必然的に間取りは「ロの字型」や「コの字型」にしなくてはいけません。
敷地形状によっては、他のスペースに影響を与えてしまうため、実現が難しい場合もあります。
取り入れる際の注意点
光庭を設ける場合にも気をつけなくてはいけない点がいくつかあります。
- 屋根をつけると建築面積に算入される
- 排水設備が不十分だと、湿気の温床に
- 家の断熱性を高めなくてはいけない
- 狭いとあまりメリットが得られない
「建築基準法施工令第二条の二」の中では、建築面積の概念を以下のように定めています。
[建築面積]
建築物(地階で地盤面上一メートル以下にある部分を除く。以下この号において同じ。)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(軒、ひさし、はね出し縁その他これらに類するもので当該中心線から水平距離一メートル以上突き出たものがある場合においては、その端から水平距離一メートル後退した線)で囲まれた部分の水平投影面積による。
引用元:e-Gov法令検索|建築基準法施工令
要約すると、壁の中心線から1m以上ひさしや屋根が飛び出ると、その先端から1m戻った部分の面積まで「建築面積」に入ってしまうということです。
つまり、建ぺい率や容積率がシビアな場所では、注意が必要しなくてはいけません。
そして、家を正常な状態で保つために欠かせないポイントが、排水設備です。
光庭は壁面で囲われている空間なため、そのままではかなり水はけが悪いです。
何も工夫せずに放置すると、雨水などが溜まって室内や構造内部へ侵入したり、壁に藻やカビが繁殖し始めます。
ですから、十分な排水設備を設けた上で、仕上げをコンクリート打ち放しやタイル貼りなど、水はけのよい仕様にしましょう。
また、開口部を断熱サッシにするなど、室温や空調効率への配慮も必要です。
どうしても光庭にあまり面積を割けない場合には、導入を再検討してください。
狭い光庭を作っても、真上に太陽が昇る正午前後しか光は入らず、屋外空間としてもあかり活用できない“無駄な”スペースになってしまいます。
多世帯住宅にも光庭はおすすめ
最近少子高齢化の煽りを受けて、国や各自治体が三世帯住宅などの多世帯住宅を推奨しています。
階層分離タイプや同居タイプなど、いくつかのプランがありますが、光庭を挟んだ分離タイプもおすすめです。
屋外空間を介してお互い適度な距離感を保てますし、光庭が緩衝エリアの役割も果たしてくれます。
また、週末などに家族全員が集まる場所としても機能するため、付かず離れずの暮らしが実現できる点もメリットです。
施工事例|光庭のある間取り
私たち入沢工務店では、今まで数多くの光庭のある家を手がけてきました。
そこで、その中でも特徴的な事例を紹介します。
CASE① 光庭を通して空間をつなげる
こちらは、光庭を家の中心に配置し、その周りを部屋が囲んでいる事例です。
一階はもちろん、二階の各スペースも光庭に面して開口が設けられているため、白い壁に反射した日光をふんだんに取り入れられます。
リビングと和室の掃き出しサッシを開け放つと、光庭も含めた大空間に。
天気のいい日には、開け放つと気持ちいい風が吹き抜けます。
【事例の詳細はこちらをご覧ください】
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CASE② 光庭中心の回廊型プラン
こちらは光庭を3方の壁が覆うプランで、リビング、キッチン、洗面室が回廊のように面しているため、薄暗くなりがちな水周り空間も明るい光に包まれています。
玄関アプローチとの間には開口を設けて、光庭にいても来客を迎えられる工夫も。
平屋でありながらも、ゆったりとした空間構成が魅力的です。
【事例の詳細はこちらをご覧ください】
入沢工務店|施工事例|山梨県昭和町注文住宅|光庭のある家、平屋建築/間取り画像を紹介
まとめ|日光をどの部屋にも満遍なく取り入れやすい“光庭”
陽の光を取り入れられる間取りを考える時、どうしてもリビングなどのメインとなる場所を優先してしまいます。
しかし、光庭を設ければ、どの部屋にも満遍なく陽の光を届けられます。
ただし、狭い光庭を無理矢理作ってもあまりメリットが感じられない場合もあります。
敷地の形状や特性を理解してプランニングしてくれる施工会社に相談しましょう。
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