欧米では昔から当たり前のように住宅に取り込まれてきたパントリーですが、日本でも生活スタイルの変化から新築住宅のキッチンに併設させるケースが増えています。
しかし、使い勝手までじっくりと考えずに作っても、使いづらかったり結局無駄なスペースになることも少なくありません。
そこで、今回は便利で使いやすいパントリーするポイントについて詳しく解説します。
●大きさや収納、必要な設備などに関するポイントを押さえることで、後悔のないパントリーが実現します。
●入沢工務店は、山梨にオフィスを構え“地元密着”をコンセプトに家づくりに励んでいます。
Contents
キッチンパントリーとは?スタイルの種類は?
キッチンパントリーとは欧米では一般的な空間で、食料備蓄庫としてキッチンに併設されます。
元来、日本では食料を大量に備蓄する習慣があまりなく、買ったら使い切るという考えの人がほとんどでした。
しかし、共働きで週末にまとめて買い物する人や、生活感のないすっきりとした家を望む人が増えたことから、雑然としがちな食料ストックや日用品をまとめて収納できるスペースが求められるようになったのです。
また、地震や台風などの自然災害に多く見舞われる日本においては、防災グッズの備蓄場所として使われることもあります。
このように、日本におけるパントリーは、欧米で親しまれている本来の用途に加え、もう少し広い意味での収納空間として捉えられていると言えるでしょう。
では、具体的にはパントリーにはどのようなスタイルがあり、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
収納家具タイプ
(扉あり・なし)
パントリーとは、そもそも食料を備蓄する目的であるため、何も部屋として成立してる必要はありません。食器棚と並ぶように設置された収納家具も、パントリーとしての役目を十分果たせます。スペースに余裕がない場合や、調理中などに効率良く食料を出し入れしたい場合におすすめです。雑多な状態を隠したい場合は“扉あり”、家事効率を重視するなら“扉なし”がおすすめです。
ウォークインタイプ
キッチンの付近に独立したスペースを確保して、そこに備蓄する手法です。収納力が抜群に高いだけではなく、整理整頓がしやすく、広さによっては冷蔵庫などの家電も格納できるため、とことん生活感を隠せます。ただしキッチンとの位置関係によっては、家事動線が長くなってしまうこともあります。
ウォークスルータイプ
キッチンまでのアクセス経路に収納スペースを設ける方法で、行き止まりにはならないため、生活動線を遮断せず、回遊性があります。ただし、間取りにうまく組み込むのが難しく、たっぷりな収納力を確保できない場合もあります。しかし、何がどれだけあるのかが見えやすく、在庫管理しやすい点が魅力です。
このように、「収納力」「家事効率」「見栄え」のどれを重視するかによって、適切なタイプが異なります。
また、家の広さや間取りのバランスも、タイプ選びに影響します。
ですから、設計者は施主の要望を汲み取りながら、キッチンや動線の邪魔にならない場所にパントリーを配置しなくてはいけません。
後悔しないパントリー計画のために知っておくべき“9つ”のポイント
パントリーは最近の新築住宅ではもはやスタンダードな空間となりつつありますが、インターネットなどで調べてみると“後悔している”人も少なくありません。
せっかく限られたスペースを割いたにも関わらず、使いづらかったり有効活用できなければ意味がありません。
そこで、ここではパントリー計画で検討すべき9個のポイントを紹介します。
それぞれについて、住み始めてからの生活パターンをイメージしながら、じっくりと検討してみましょう。
その① 棚は扉付き・扉なしか
収納タイプにする場合、棚に扉をつけるかつけないかはかなり重要なポイントです。
先ほども少しお話しした通り、扉を付けると中が多少片付いていなくてもそれが見えません。
逆に、扉なしの場合はきちんと片付けないと生活感が垣間見えてしまいますが、すぐに物の出し入れができるため、家事効率が上がります。
ですから、片付けが好きな人やいちいち開け閉めするのが面倒という人は、コストをかけて扉を付ける必要はありません。
一方で、モデルルームのようにいつもすっきり片付いているキッチンを目指す方は、扉をつけておくことをおすすめします。
扉あり・扉なしをミックスして、収納するものに合わせたハイブリットな収納計画を立てるのもおすすめです。
その② 収納の奥行きは適切か
スペースを無駄にしたくないあまり、棚の奥行きを深くしすぎてしまうのも後悔する原因です。
一見、棚板を深くすればするほど収納力がアップすると思うかもしれませんが、実際に使ってみると物がどんどん奥に入っていってしまい、とても使いづらいです。
食糧庫の用途では、奥行き30〜45cm程度がベスト。
ただし、米びつや飲料缶などをストックする場合には、それでは十分なスペースが確保できませんので、しまう物や棚の高さによって、奥行きを変えることも必要でしょう。
重い物・大きい物を下に置き、軽く小さくなるにつれて上段に置くのが基本です。
その③ 何をどのくらい収納するか
収納扉の有無や棚の奥行きを考える際に重要となるのが、「何をどれだけ収納するのか」という点です。
それによって適切なパントリーの広さや収納レイアウトが異なります。
例えば、トイレットペーパーなどの日用消耗品まで収納するのか、それとも缶詰や水などの食料備蓄のみにするのか、はたまた家電まで格納したいのかなど、計画段階から具体的に何を収めたいのかをある程度イメージしてみましょう。
その④ 広さは十分か
ウォークインタイプの場合なら、1〜2畳が標準的な広さです。
ただし、家電などは入れずに単なる備蓄庫の目的だけに止めるのであれば、0.5畳でも十分成り立ちます。
健常者がその場で向きを変えるのには直径60cmあれば良いので、それ以外のスペースに棚などを設置しましょう。
ただし、将来的に杖を使ったり車椅子に乗った人が使う場合には、転回スペースとして最低でも直径120〜150cmを確保しなくてはいけません。
どうしてもスペースが確保できない場合は、適宜床下収納庫を設置するのもおすすめです。
冷暗収納スペースが確保できるだけではなく、いざという時には床下点検口の役割も果たしてくれます。
その⑤ 方角を意識しているか
パントリーは食料を備蓄するための場所なので、直射日光が当たったり、熱がこもるようではいけません。
北向きの場所や外気の影響を受けにくい外壁面に接していない場所が最も適切です。
ただし、どうしてもこれらの条件を満たせない場合でも、家全体の断熱性を高めたり、日射を遮る庇などを設置するなどの解決方法もあります。
その⑥ 家事動線の妨げになっていないか
いくら収納力が十分でも、取り出しやすい場所になければ結局活用しきれなくなってしまうでしょう。
例えば、調理中にパントリーに行くだけのために動線が長くなってしまったり、ダイニングテーブルなどを迂回しなくてはいけないようではいけません。
自然な流れができる場所に配置することが大事ですし、買い物をして食料などをしまう際の動線も意識してみましょう。
家族の動線と家事動線が交差しないこともポイントです。
朝などの忙しい時間帯にパントリーにアクセスしにくくなってしまいます。
その⑦ 必要な設備は整っているか
パントリーに必要とされる設備は主に3つです。
まず、コンセントは必要な分をあらかじめ設置しておきましょう。
後から家電などをおきたいとなった場合、キッチンから延長コードを引き込まなくてはならず、転倒事故などの原因となってしまいます。
忘れがちなのが照明器具と換気扇です。
まず、コンパクトなパントリーほど照明器具を設置しない人も多いですが、手元が暗くては何が収納されているかがはっきり確認できません。
また、どうしても湿気がこもりやすいため、換気扇も忘れずに設置してください。
カビなどの発生や臭いがこもることを抑えられます。
その⑧ 在庫管理がしやすい仕組みが実践できるかどうか
パントリーの唯一の欠点とも言えるのが、「物をしまい込みすぎてしまう」という点。
場所があればあるほど、人は物を溜めてしまいがちです。
しかし、それではいくら食料を備蓄していても、知らないうちに賞味期限が切れてしまったり、既にある物を買い足してしまったりするでしょう。
それを防ぐのに有効なのが、在庫管理しやすい仕組みを作ることです。
家族間で、新しく買った物はパントリーの奥にしまい、手前にある物から使うなどのルーティーンを決めて、定期的に中の物を入れ替えるように意識してみましょう。
これを、「ローリングストック法」と言い、防災面でも注目されています。
ローリングストック法は日常的に非常食を食べて、食べたら買い足すという行為を繰り返し、常に家庭に新しい非常食を備蓄する方法。この方法なら普段から食べているものが災害時の食卓に並び、安心して食事を採ることができるはずです。
引用元:内閣府|防災情報のページ
その⑨ 他の用途でも使えるかどうか
ご家族が多ければ多いほど、パントリーを設置する意義が大きいですが、お子さんが独立してご夫婦だけになった場合には、その空間が無駄になってしまうことも想定できます。
ですから、家族構成やライフスタイルが将来的に変わる可能性が高い場合には、掃除用具入れなどその他の目的でも活用できるようにしておくことも肝心です。
例えば、敢えて内部の収納を作り混みすぎず、市販のラックなどを活用すれば、いざ用途を変える時にも無駄な工事をしなくて済みます。
また、介護が必要な時に備えて、床下に給排水管を配置しておき、車椅子対応のトイレなどに変更させることも可能です。
トータルの収納計画で“家事ラク”を実現
パントリーは、キッチンに付随する場所ですが、家全体をいつもすっきりとした状態に保つためには、トータル的な収納計画を考えなくてはいけません。
ファミリークローゼットやランドリールーム、シューズインクローゼットなど、家族構成や生活スタイルに合わせて、適材適所に必要な収納スペースを配置すれば、家事負担が軽減できるだけではなく、家族一人一人が自分のものを片付けられる環境が整います。
「モデルルームのような生活感のない家にしたい」「子どもでも自分のものが自分で片付けられるようにしたい」などとお考えの方は、ぜひ“収納計画”も踏まえた間取りプランを検討してみましょう。
私たち“入沢工務店”では、フルオーダーの造作家具製作からご要望に合わせたプラン作成まで、あなたの家づくりを丸ごとお手伝いさせていただきます。
“家事ラク”なマイホームを目指す方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ|後悔しないためには将来の生活をイメージすることが大切
パントリーを後悔してしまっている人に共通しているのが「使い方をイメージしていなかった」という点です。
実際にどのように使うのかをシミュレーションせずに計画を進めてしまうと、実際には全く活用できない場所になってしまう可能性もあります。
ですから、せっかくパントリーを作るなら、どのように使うのかをじっくりご家族全員で想像して、本当に使い勝手がいいのかを検討してみてください。
それが難しい場合には、当社の設計者にご相談を。
今まで培った経験や知識をもとに、あなたの使いやすいパントリーをご提案させていただきます。
施工事例ではいくつかのパントリーも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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