電気代が高騰している昨今、真夏や真冬にエアコンなどの空調機器をつけるのをためらってしまう方も多いでしょう。
しかし、室温が適切でないと、熱中症や風邪を発症してしまいます。
小さなお子さんや高齢な方ですと、深刻な問題になりかねません。
そこで、今回は「快適な室温」について、湿度と合わせて詳しく解説します。
起きている時と寝ている時の違いや、赤ちゃん・高齢者・ペットのいる場合、その他、快適な室温・湿度を保つために必要な住宅性能と設備も紹介します。
これからマイホームを建てる方やリノベーションしたい方は、ぜひ参考にしてください。
● 快適で健康的な生活を送るためには、室内の温度・湿度管理が欠かせません。
● 室内の温度・湿度管理を徹底するためには、住宅性能や設備に配慮が必要です。
● 入沢工務店は、山梨にオフィスを構え“地元密着”をコンセプトに、高性能でスタイリッシュな注文住宅や建築家とのコラボ住宅を数多く手がけています。
Contents
“快適”と感じる部屋の室温は何度?湿度との関係
「快適な室温」と言っても、漠然としていて空調機器を何度に設定すればいいか分かりませんよね。
快適と感じる室温は人によって多少異なるものの、一般的に「夏の冷房使用時は25〜28℃、冬の暖房使用時は18〜22℃程度」と言われています。
ちなみに、全館空調システムの推奨設定温度は「冷房26~28℃・暖房20~22℃」です。
ただし、設定温度を低く・高くすると、その分消費エネルギーは増えてしまいます。
環境省のデータによると、エアコンの設定温度を1℃緩和しただけで、消費電力量は「冷房時約13%・暖房時約10%削減」されると試算されており、「夏により涼しく、冬はより暖かくすればいい」とは言い切れません。
環境省では、快適性を損なわずかつ省エネ性を高められる室温として「夏28℃・冬季20℃」に調節することを推奨しています。
これらの温度はあくまでも室温であり、設定温度ではありませんが、温度計を設置するなどして管理することで、「光熱費削減+快適で健康な暮らし」を実現できます。
(参考:環境省|家庭のエネルギー事情を知る)
快適な室内環境を保つ上で忘れてはいけないのが、「湿度」です。
例えば、夏に冷房で室温を下げても湿度が高ければ体感温度はあまり下がりません。
一方で、暖房をつけて室内が乾燥すれば、風邪やインフルエンザなどのウイルスが飛散しやすくなってしまいます。
適切な室内湿度を知る上で参考になるのが、労働安全衛生法|事務所衛生基準規則です。
この中では、「空気調和設備を設けている場合は,室の気温が17度以上28度以下及び相対湿度が40%以上70%以下になるように努めなければならない」と定めています。
ただし、室内の湿度・温度ともに高くなると、カビやダニが繁殖しやすくなり、湿度が低く乾燥状態になると、ウイルスの飛散しやすい環境が整ってしまいます。
カビやダニ、ウイルスが繁殖しにくく、なおかつ、人が快適に過ごせる室内環境を保つ場合は、「湿度40~60%」になるように意識しましょう。
「暑さ指数」と「不快指数」を参考にする方法も
快適な室内環境を作る上で参考になるのが「暑さ指数」と「不快指数」という考え方です。
どちらもアメリカで作られた基準で、蒸し暑さや熱中症のリスクを知るために活用されています。
暑さ指数(=湿球黒球温度 WBGT)
単位は温度と同じ「℃」で表されますが、数値は気温とは異なります。
気温は空気の温度を表す値であるのに対して、暑さ指数は人体と外気における熱の行き来(熱収支)を示す指標です。
「湿度+日射・輻射などの熱環境+気温」によって求められます。
0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度 = 暑さ指数(℃)※屋内の場合
暑さ指数が高いほど、熱中症の発症リスクが高くなるため、注意が必要です。
暑さ指数 | 生活活動の目安 |
---|---|
31以上 | 「全ての生活活動において危険が生じる(危険レベル)」 赤ちゃんや高齢者は命の危険にかかわる熱中症を引き起こす可能性が高いため、速やかな温度・湿度調節が必要 |
28〜 | 「全ての生活活動において危険が生じる(厳重警戒レベル)」 これ以上室温が上がると熱中症を引き起こす可能性があるため、速やかな温度・室温調節が必要 |
25〜28 | 「活動的な行動において危険が生じる(警戒レベル)」 激しい運動や作業をすると健康被害を引き起こす可能性があるため、換気して休息を取る |
25未満 | 「活動的な行動において危険が生じる(注意レベル)」 一般に危険性は低いが、激しい運動や作業をすると健康被害を引き起こす可能性がある |
21未満 | 「日常生活で危険が生じる可能性は低い(安全レベル)」 通常は熱中症のリスクは低いが、適宜水分・塩分の補給は必要 |
「暑さ・寒さには強いから出来るだけ空調機器はつけない」という方もいるかもしれませんが、室内熱中症は発症までの症状に気が付きにくく一気に体調が悪くなるケースもあるため、十分注意しましょう。
不快指数(THI)
不快指数は蒸し暑さを評価する指標として用いられ、冷房を使うかどうかの目安としても活用されています。
0.81× 乾球温度 + 0.01 × 湿度(%)× ( 0.99×乾球温度 −14.3)+ 46.3= 不快指数
不快指数 | 体感 |
---|---|
85以上 | 暑くて体調が悪くなる |
80〜85 | 暑くて汗が出る |
75〜80 | 汗は出ないが暑さを感じる |
70〜75 | 少々暑さを感じる |
65〜70 | 快適 |
55〜65 | 肌寒い |
55未満 | 寒くて不快 |
不快指数を快適レベルである65〜70に保つためには、「温度20〜23℃(湿度50%の場合)」にする必要があります。
蒸し暑さを感じやすい夏場は、不快指数を意識して室温設定するのもおすすめです。
快適に寝るための室温・湿度も要チェック
冷房暖房ともに、昼間と夜間で同じ設定温度にしている方も多いでしょう。
ところが、起きて活動している時と寝ている時とでは、適切な室温は異なります。
冷房時に設定温度を低くし過ぎると具合が悪くなる可能性が高まり、暖房時には乾燥が気になります。
質の良い睡眠を取るためには、「温度28℃±1℃」「湿度50±5%」が理想的とされています。
夏には、設定温度を下げすぎず、除湿(ドライ)機能を使って湿度を下げるのがおすすめです。
就寝時は消費エネルギー量が極端に少なくなるため、過度な冷房は避けましょう。
また、暖房の設定温度を高くし過ぎると寝ている間に水分不足となるため、布団などで温度調節してください。
赤ちゃん・高齢者・ペットのいる家は温度・湿度管理がより重要に
赤ちゃんや高齢な方、ペットは、体温調節がスムーズにできないため、特に室温・湿度管理が重要となります。
部屋の用途 | 適切な温度・湿度環境 |
---|---|
赤ちゃん・小さいお子さんが過ごす部屋 | 冬の室温:20〜25℃ 夏の室温:外気温との差を4〜5℃ 湿度:50%前後(60%以上にならないように注意) |
高齢な方が過ごす部屋 | 冬の室温:20〜25℃ 夏の室温:25〜28℃ 湿度:50〜60% |
ペットが過ごす部屋 | 冬の室温:20〜25℃ 夏の室温:22〜26℃ 湿度:50〜60% |
赤ちゃんや小さいお子さんは自ら服を脱ぎ着したり水分補給できません。
また、高齢者も体温調節機能が低下することによって暑さを感じにくくなり、いつの間にか体内水分量が減って脱水状態となって、熱中症になるリスクがあります。
そして、高齢者の場合は、ヒートショックへの注意も必要です。
ヒートショックとは、暖かい部屋から脱衣所やトイレなど寒い部屋へ移動することによって、急激に血圧が上昇・下降し、失神や不整脈を起こす症状です。
ヒートショックを防ぐためには、部屋ごとの温度管理だけではなく、家全体の温度ムラをなくすことが重要になります。
※ペットについては種類によって適温・適度な湿度は異なりますので、飼う際には必ず獣医に相談するようにしましょう。
快適な室温・湿度を保つために必要&おすすめな住宅性のと設備
快適な室温・湿度を保つためには、温度計や湿度計をこまめに確認する必要がありますが、なかなかそうもいきませんよね。
また、温度と湿度をチェックしても、うまく調節できなくては意味がありません。
そのため、快適な室内環境を保つためには、住宅性能や設備について考える必要があります。
高気密高断熱性
家の気密性・断熱性を高めると、外気温の影響を最小限に抑えられて、空間ごとの室温ムラを軽減できます。
また、空調機器を使わずとも温度を一定に保ちやすいため、光熱費削減、つまり省エネにつながる点も重要なポイントです。
外壁・床・天井や、窓・玄関ドアなど開口部を高断熱にすることで、家全体を安定した室温に維持できるようになります。
新築住宅においては高気密高断熱が標準仕様となりつつありますが、既存住宅はリノベーションで気密性・断熱性を高める事例も少なくありません。
第1種換気の24時間換気システム
住宅の気密性を高めると、どうしても換気能力は下がります。
そのため、現在は24時間換気システムの設置が義務化されています。
ところが、梅雨など外部の湿度が高い場合は、換気することで湿気も室内へ取り込んでしまいます。
しかし、換気をストップすると、人から発せられる湿気が室内にこもる点は否めません。
そこでおすすめなのが、給排気を自動的に行う「第1種換気」の24時間換気システムです。
湿度に応じて換気量を自動制御できる機種もあります。
自然給排気口を設置すると、開け閉めを忘れて換気不足になったり、逆に雨の日でも開けたままで室内湿度が上がったりするので注意しましょう。
空調された温度を無駄にすることなく換気できる「熱交換気システム」を搭載した機種もおすすめです。
【おすすめコラム】
「熱交換換気システムはいらない」って本当?デメリットや費用について徹底解説
全館空調システム
家全体の温度・除湿を自動的に調節できるのが、全館空調システムです。
高気密高断熱住宅においては、各部屋にルームエアコンをつける場合よりも省エネになる可能性もあります。
また、玄関や廊下や階段など通常は空調機器をつけない場所も快適な温度になるため、ヒートショックのリスクを大幅に抑えられる点もメリットです。
ただし、間取りや天候によっては室内が乾燥してしまう可能性もあるため、適宜加湿器との併用が欠かせません。
ちなみに、全館空調システムは天井裏などにダクト配管しなくてはいけないため、部分的なリノベーションでは導入できません。
そのため、新築時もしくはフルリノベーション時に設置しましょう。
シーリングファン・サーキュレーター
最近の住宅は吹き抜けやリビング階段を設け、間仕切り壁を出来るだけ作らないようにするなど、一部屋の空間容積が大きくなりがちです。
そのため、空調しても場所によって温度ムラができる場合もあります。
その対策としておすすめなのが、シーリングファンや壁付けのサーキュレーターです。
室内の空気を撹拌し、温度ムラを軽減できます。
また、夏場には室内に心地よい風を作り出すため、冷房の設定温度を下げなくても体感温度を下げられます。
部分的なリノベーションでも後付けできるため、部屋の暑さ・寒さが気になる方は、導入をご検討ください。
【おすすめコラム】
〈吹き抜けの寒さ対策〉暖かくする方法や工夫する点は?
〈事例写真付き〉“リビング階段”の後悔理由とその解決方法
埋め込み型除湿乾燥機
特に湿気が気になる場所には、埋め込み型の除湿乾燥機がおすすめです。
置き型のように邪魔になりませんし、24時間365時間連続運転もでき、溜まった水を捨てる手間もありません。
山梨・甲府エリアで「後悔のない家づくり」を実現させたい方は入沢工務店へご相談を
私たち“入沢工務店”の施工エリアは、「甲府市・山梨市・韮崎市・南アルプス市・甲斐市・笛吹市・甲州市・中央市・昭和町」です。
地元密着で家づくりと向き合ってきた私たちだからこそ、地域特性を踏まえた住まいをお手伝いできます。
「住む人とつくる人、そのお互いの顔が見える家づくりの大切さ」
この理念を常に意識して、お客様一人一人に寄り添いながら少数精鋭のプロ集団で家づくりに取り組んでいますので、年間に携われる棟数は決して多くはありません。
しかし、地元の方に満足していただける工務店であり続けられるよう、お客様の声に常に耳を傾けています。
「豊かなデザイン力」
「長年培った確かな技術」
「常にトレンドを取り入れる探究心」
「お客様に寄り添った提案力」
これこそ私たちの強みです。
「地域に根づく家を建てたい」「快適なマイホームにしたい」とお考えの方は、是非一度私たちにご相談ください。
まとめ|快適・健康に暮らすためには家を工夫して温度湿度管理することが重要
快適かつ健康的に暮らすためには、室内の温度・湿度管理が欠かせません。
しかし、温度計や湿度計をチェックしたり、こまめに空調機器を入り切りするだけでは不限界があります。
そのため、家を新築・リノベーションする際に、温度湿度調節できる性能や設備を整えましょう。
私たち入沢工務店は、“地元密着”をコンセプトに、山梨県甲府市周辺でリーズナブルな価格で高性能かつスタイリッシュな注文住宅を数多く手掛けてきました。
高気密高断熱住宅の設計施工実績も豊富です。
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